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■ドレン回収の必要性 |
蒸気は、周囲温度より高温であるため配管内壁を通じて大気へ放熱されます。この熱損失により蒸気は凝縮してドレンに変化します。また、熱交換器等の装置においては蒸気の熱エネルギーを伝達した後は凝縮してドレンに変化します。このドレンが蒸気システム内に介在していると熱効率の低下をもたらします。また配管内のドレンは管底部に溜り、高速で流れる蒸気に押されウォターハンマーの発生を促します。従って、発生したドレンはスチームトラップにより速やかに蒸気システムから排出しなければなりません。このように蒸気システム内にとってドレンは必要のない存在ですが、熱エネルギーを抱えた純水ですのでドレン回収を実施することにより様々な効果が得られます。 |
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効果@ |
熱エネルギー |
スチームトラップから排出されるドレンは蒸気システム圧力における飽和水ですので大量の熱量を持っています。回収されたドレンの顕熱をボイラー給水や、プロセスでの昇温工程におけるプレヒート用として使用できます。直接加熱できない場合は熱交換器を使った間接加熱も有効です。 |
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効果A |
用水リサイクル |
ドレンは不純物を含まない純水です。そのまま給水として使用が可能ですので用水費用だけでなく水処理費や薬剤の注入費の軽減にもなります。多量の配管スケール・鉄分等が含まれている場合にはフィルター等の配慮が必要になります。 |
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効果B |
環境への取り組み |
ドレン回収によりドレンが雨水に混入することを防ぐことができます。 |
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1.
蒸気主管 |
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圧力制御されていない蒸気主管から発生するドレンはほとんどの場合、圧力還水方式で回収可能です。この場合、ドレン回収管内の圧力に加え、立ち上がり管の水頭圧がスチームトラップに背圧として作用します。そのためドレン回収を実施にあたってスチームトラップへの見直しをお奨めします。トラップ出口の作動状況が目視で確認できなくなるため、信頼性が高く背圧許容度に優れたメカニカル式スチームトラップへのご変更を推奨いたします。 |
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2. 装置・蒸気トレース |
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装置トラップ等上流側で圧力の制御を行なっている場合、および蒸気トレース等の場合は圧力が低い、または変動するため自圧での回収が難しくなります。そのためポンプを使ったドレン回収が必要になります。ポンプでの回収方法は、真空ポンプを使用して回収する真空還水方式がありますが、高温ドレンによるポンプのトラブルやキャビテーションおよび防爆の問題を考慮してポンピングトラップを使用した機械的な圧送をお奨めします。
尚、ポンピングトラップを使用した圧送方法にはオープンシステムとクローズシステムがあります。ケースにより使い分けて設置します。 |
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(参考)某生産工場によるドレン回収メリット事例 |
製品乾燥のためのエアーヒーターから発生する1日当り60tの蒸気ドレンを現状は廃棄しています。このドレンを回収した場合のメリットを算出しました。
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回収ドレン量 |
60 t/day |
60,000 L/day |
回収ドレンの温度 |
80 ℃ |
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水単価(井水) |
20 円/m3 |
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重油単価 |
30 円/L |
A重油 |
重油発熱量 |
9,384 kcal/L |
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回収熱量 |
4,800,000 kcal/day |
(80℃×60,000 L/day) |
重油削減量 |
512 L/day |
(4,800,000 kcal/day÷9,384 kcal/L) |
重油削減金額 |
15,345 円/day |
(30円×512L) |
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4,603,581 円/年 |
(15,345円×300日) |
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給水削減量 |
60 m3/day |
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給水削減金額 |
1,200 円/day |
(20円×60cm3) |
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360,000 円/年 |
(1,200円×300日) |
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